集中力ハンター母
夫が長期旅行(約10日)に出かけていった。
「水曜どうでしょう」的遠征に行くという。バイクで。
ロートルがこの暑いのにバカじゃないの、と言いながら送り出した。
で、残されたのが家事のできない私と、ほとんど家にいない息子。
私は家事を15年ほど前に手放したので、自分の部屋の掃除洗濯と、ヒトにあまり触られたくないお気に入りのアラビアのムーミンマグカップの洗浄以外、ほとんどやり方を忘れてしまった。だいたい食事の支度してる時間がない。10日セブンイレブンはキツイ。
そこで、実家の母に応援を要請したら、わざわざ何時間もかけて、やってきてくれた。齢80目前の老体を押して。ありがたい。
母の動きは期待以上だった。
とにかくじっとしていない。洗濯機の下からシンクの曇り、庭の引き残しの草まで、ちょっとした掃除箇所を見つけてどんどん片付けていく。母が歩いた後は草も残らない。
これが姑だったら絶対ヤダ。
そして、ブルドーザーのように掃除してくれるんだけど、
その度に「雑巾どこにある」
「ゴミ袋は」「分別どうする」と話しかけてくる。
その都度仕事を中断。
さらに、
「親戚のSちゃん(独身アラフォー女子)が家買ったって」
……ふうん、そうなんだ。すごいねぇ。
「Kおばちゃん、ホームに入るんで家売りたいけど権利書みつからないんだって」
……へえ。早く見つかるといいねぇ。
「あんたのいとこのNくん、あやしい商売始めるって」
……はいはい。
「晩御飯、何が食べたい?」
……なんでもいいから、いま仕事中だから。ちょっとごめんっ今無理!!!
せっかく来てくれてるんだから、気持ちよく過ごしてもらおうと会話に乗っかった私が間違い。「仕事中なの察してよ」と思うのは、私の自己中だった。
はっきり言ってからは話が早い。
2日もすると、二人ともそれぞれ各々の仕事に慣れ、うまく回り始めたんだけど、
張り切ってた母は、そろそろ疲れが出てきたらしく、昼からちょっと昼寝し始めた。
それがまさに、バイオリンの練習時間とかち合ってしまうようになった。
相手が夫なら、構わず枕元でだって嫌がらせのように練習できるんだけど、
母に、練習するから起きろと言えない。
おまけになんだか母のそばだと練習できない。
ド下手なのがちょっと恥ずかしかったり、うまく集中できない。
私のメンタル、なんてヘタレなんだ……。
家族といっても、四半世紀も一緒に住んでないと、
ペース掴むのにちょっと時間がかかるね。
とにかく今週末は、超久々のレッスン。
お盆休みにサボりまくってたと思われないよう、きっちり仕上げねば。